インプラント周囲炎に対し臨床的に現在有効とされるいろんな対処法があるけれど、 チタン製チップを装着した超音波スケーラーで周囲を掻爬したり、インプラント体表面をHA(ハイドロオキシアパタイト)粉末でサンドブラストするとか 回転式のチタンワイヤーブラシで清掃 研磨したり、生理食塩水綿球で何度も清拭して抗生剤ペーストを注入するなど・・またそれらを組み合わせて繰り返し行っても 期待した効果は得られないのではないかと考えていた。というのもインプラント体の表面はオステオインテグレーション獲得に有利な 電子顕微鏡化でやっと見られるほど微細な凹凸がつけてあり その陥凹内部に入り込んだ汚染物質や感染した肉芽組織を完全に除去することは不可能ではないかと思えたから。

R4 5月に参加した ITI Congress 2022 及び R4 11月 モリタ名古屋支社で開催されたアーウィン・アドベール EVO(Er :YAGレーザー)の講演を聴き また様々な文献や論文を読み Er :YAGレーザーでインプラント体表面や周囲組織を除染、殺菌するレーザーデコルチケーション及び Water Micro Explosion により組織を活性化し再生を促すというエビデンスが最も信頼出来ると考える様になった。
インプラントに付着した歯石除去に対し効果があると厚労省が認可した唯一のEr:YAGレーザー機器「アーウィン・アドベール EVO」は高価で購入するかどうか悩んだが、結局注文し(半導体不足のため納期未定だったが)3月初旬に漸く納品された 今まで持っていた炭酸ガスレーザーや半導体レーザーとは作用機序も有効疾患も若干の違いがあり Er:YAGレーザーは応用出来る症例も非常に多いがチップも数種類あり その時々、症例に応じたパワーやパルスもそれぞれ最も有効な設定があり 今も休日には勉強と練習を繰り返している。
機械本体が大きく手軽に扱えないのもやや難点ではあるけれど インプラント臨床に於いて有効な治療法、「引き出し」を手に入れたので今後活用していきたい。
ひろ歯科医院