生体には「異物排除気転」と呼ばれる自分の体に入り込んだ余計なものを体外に排出しようとする性質があります。「チタン」という材料はこの異物排除気転がおきにくい金属なのです。最近では時計やメガネなどにも用いられていますが軽いばかりでなく、「体に優しい金属」と言われるのはこの理由からです。当医院で使っている『ITI Implant』はGREAD4チタンを用い、ただ顎骨中にねじ込んだだけでなく、顎骨中に埋入されたねじの表面に新たに出来た骨とくっ付くように(オステオインテグレーションと呼ばれ、周囲の新生骨を取り込んで顎骨中でインプラントが完全に安定した状態)形態や表面性状が考えられています。
その形態や表面性状のお陰で、長さの短いものを用いる事が可能で、また骨内で安定した強度を持つまでの時間も短くて済みます。それはつまり骨の条件が悪く幅や深さが少ない場合にでも有利で、大きな長いインプラントのねじ(フィクスチャーといいます)を埋入する手術より体に対する侵襲も少なくて済み、手術してから歯の頭の部分を装着するまでの期間が短くて済むという事なのです。そして実際に歯の頭の部分を装着し噛むようになってからでも壊れたり、ダメになったりしにくいという事なのです。
インプラントが骨内で安定し上部構造体(歯の頭)を作って装着するには「オクタアバットメント」という8角形のジョイントを用いチタン製のねじと専用ドライバーで規定トルクで固定します。ねじで留める方が精度が高く、外す事が可能な事からリコールの際外して器械で洗ったりも可能ですし、周りのはぐきの状態を確認する際にも便利です。また例えば、後々隣の歯がダメになって抜いた後インプラントを埋入する必要が出た場合なども一緒に連結したものを作り直したりも出来ます。セメントでくっ付ける専用のキットも出てますがそんな理由からねじ固定を好んで用いています。